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イーサン・ルッソ博士、HHCについて語る

カート・ハーン 02/03/2022 0 comments
#HHC  #Isomer  #CBD研究ニュース

CBD誘導体の化学物質の家内工業が、日本を含む世界中の市場に出現している。今回は特にここ1~2年で注目が集まっているHHC(ヘキサヒドロカンナビノール)について、その潜在的な利点と危険性は何か、イーサン・ルッソ博士に見解を伺う。

イーサン・ルッソ博士プロフィール

カンナビノイド研究の世界的権威、理事会認定の神経内科医、精神薬理学研究者。20年にわたる臨床神経学の実務経験を経て、2003年にイギリスの製薬会社GWファーマシューティカルズのシニアメディカルアドバイザーとしてサティベックス臨床試験及び開発に従事。国際カンナビノイド研究協会及び国際カンナビノイド医薬品協会元会長。現在はCReDO Scienceにて、内因性カンナビノイド系(ECS)に関連する新しい製剤と診断を追求することで、大麻草ベースの植物治療研究に従事している。神経学、疼痛管理、大麻草、民族植物学に関する書籍及び30以上の研究論文を執筆。

イーサン・ルッソ博士、HHCについて語る:Part 1

“ HHCは、合成の高活性CB1受容体作動薬で、有害事象の可能性がより高い物質です。効能が高ければ高いほど良いということではありません。その理由に、THCはCB1受容体において部分アゴニストとして知られています。さて、それをわかりやすく説明してみましょう。部分というのは、結合が弱いことを意味します。アゴニストとは受容体に結合して体内に存在する神経伝達物質やホルモンなどと類似した働きをする薬物をいいます。ここではCB1受容体を刺激することを意味し、THCの高揚感を生み出す作用機序であり、痛みの軽減など多くの治療効果をもたらします。

効き目がありそうですね。しかし、これは体内の内因性カンナビノイド系(ECS)を弱いながらも刺激しているのです。薬物を使って体内のシステムを刺激するときに必要なのは、穏やかな後押しであって、THCそのものよりもずっと強いものからくる暴力的な押しではありません。強力であることが、必ずしも良いとは限りません。

もし効き目が弱ければ高用量にすればよいのです。しかし多くの医療目的では、副作用の方が大きい高用量よりも低用量のTHCが望ましいとされています。またTHCにはない他の作用機序により、標的とは異なる作用を引き起こす可能性も常にあります。

いわば改良された効力-putative improved potency-は、役に立つかもしれないし、立たないかもしれない。動物で毒性試験を行い、ヒトで臨床試験を行うという通常のプロセスを経れば、もしかすると応用が利くかもしれません。”

HHCについて語る

10種類以上のHHCを発見

2007年、北陸大学衛生化学教室は、HHCに関する興味深い研究成果を発表した。研究者らは、最先端のガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて、2種類のHHCの形を特定した。 CBDがHHCとデルタ9THCに変換されることを発見したのである。現在、科学的に解明されているHHCは、少なくとも10種類存在する。

HHCとは?

HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)は、植物油をマーガリンに変えるのと同じような工程で、水素添加した誘導体留出物である。CBDから作られ、強酸を加えることでTHCに変換し、更に水素添加によりHHCを生成する。CBDを強酸性で煮沸し、メタノールやエタノールを加えて大量のHHCを作り、合成HHCやTHCなどの異性体を生成することができる。

HHCとTHCの分子には、エステル結合がない、水素化された炭素がある、二重結合がない、などの違いがある。HHCは分子が水素で飽和しているため、THCよりも酸化されにくく、分解されにくい。これらの変化により、HHCはTHCと比較して、様々な受容体との結合能力が変化する。

水素添加植物油は、通常の植物油より長持ちするため、HHCもTHCより効能を長く保つことができる。HHCはTHCにとって、マーガリンとバターのようなもので、マーガリンと同様、水素添加は健康に害を及ぼす不飽和脂肪の一種である「トランス脂肪酸」を作り出す。

動物実験のみ

HHCの研究については、ほとんどが動物実験に基づく研究に限定されており、答えはないに等しい。HHCは合成された新しいカンナビノイドであるため、短期的・長期的な効果は不明であり、 安全性や健康に対する保証はない。

2015年の「Phytochemistry Journal」第117巻では、高活性大麻株から発見された9種類のマイナー酸素化カンナビノイドにスポットライトを当て、そのうちの4種類がHHCであることを判明し、研究者らはこの新たに発見されたカンナビノイドについて、抗菌性、抗リウマチ性、抗マラリア性のテストを行った。その結果、これらの化合物の中には、ある種の細菌やマラリアに対して穏やかな活性をもつタイプがあることを発見した。

イーサン・ルッソ博士、HHCについて語る:Part 2

“ HHCのような単体の研究はほとんど行われていないので、他の方法で毒性を発揮する可能性がないとは言い切れません。もしかしたら、肝臓でうまく分解されずに蓄積してしまうかもしれません。

HHCは大麻草のケモバーに含まれる天然成分で、微量にしか存在しないため、THC合成によって商業的に生産されています。HHCのようなものが作られる場合、100%変換すればいいというわけではありません。常に汚染物質や副産物の可能性があり、それは潜在的に、本当の落とし穴です。その過程で、大麻草とは全く関係のない、肝臓や他の臓器に害を及ぼす可能性のある厄介な化学物質が含まれることがあります。

2019年に全米で栽培が解禁されたヘンプの生産者は、ビジネスとして存続するために、過剰に供給されるカンナビジオールを販売可能なものに変換するバイオアルケミー(錬金術)に目を向けています。

これらの化学物質は製造過程で分離する必要がありますが、果たしてどの程度の厳しい管理がなされているのでしょうか?生産者が高い安全基準をもっているのかどうか、私には自信がもてません。

化学物質量が不明で、汚染物質の濃度も計り知れず、溶剤が残留している可能性も高い無規制の製品が存在するのです。

医療に役立つ可能性はありますが、消費者にとって安全な高品質の製品を作ろうとする企業を私は信用できません。かなり確信があります。アメリカでも7割のCBD製品が謳い文句と違い、HHCは更に規制が緩いですからね。消費者を潜在的な毒性にさらす無規制の製品は、許されるべきではありません。

倫理的には既に違法とされているもの、つまりデルタ9THCと似た分子を作れば、その類似品も違法になります。製造過程での危険性、製品の毒性、違法性などを考慮するとお勧めしません。人々が試すべきものではないのです。ビジネスとしてそのようなことはしないでください。農薬や重金属を使わない、高品質の製品を作ることに集中し、このことは忘れてください。あなたの資源でできる他のことをみつけてください。”

(2021年8月・2022年2月のインタビューより抜粋)

MM411からのメッセージ

大麻の世界的な合法化及び臨床研究は急速に進んでおり、と同時に科学的な検証が不十分なものも含め、新しい大麻製品を提供しようとする企業の存在があります。ルッソ博士は、大麻市場の健全で安全な発展のためには、透明性を確保し、慎重に段階を踏んで、科学者コミュニティのコンセンサスを得ることが必要であり、最終的に画期的な発見ができるのだと我々に気づかせてくれます。ですが現状は残念ながら、世界各国において明確で一貫した規制や法律の枠組みがないが故、ますます創造的な形態の製品で差別化を図ろうとする一部の営利企業が出現しているのも事実です。日本におけるHHC市場の出現はその一例に過ぎず、他国ではDelta 8 THCやTHC-Oがその例です。このような派生商品は今後も出てくることでしょう。一方、日本の新興CBDヘルスケア市場のように明確で包括的な規制がない市場では、ユーザー側が責任をもって購入の意思決定をすることが求められています。

注意:2022年3月7日の厚生労働省令により、半合成カンナビノイドであるHHCは薬機法の指定薬物となり、同年3月17日以降の、製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止となったことをお知らせします。

MM411 APAC 統括責任者。日本のカンナビノイド医学教育発展のため尽力する。アジア全域のグローバル日本企業への人材及び組織開発の教育研修設計に従事。また名門ベンチャーキャピタル投資顧問会社セコイアキャピタル日本顧問、日経機関投資家アンケートトップ業界アナリスト入賞。CNN出演。早稲田大学・スタンフォード大学ビジネススクール

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