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「44年ぶりに発行された厚労省の大麻冊子を読んでみた!」イントロダクション

カート・ハーン 05/03/2021 0 comments

シリーズBLOG「44年ぶりに発行された厚労省の大麻冊子を読んでみた!」では、おそらくほとんどの日本国民に読まれていないであろう2020年3月に出版された厚労省発行の大麻冊子「大麻問題の現状」について、カンナビノイド医学教育を提供するMM411の視点から少しずつ紐解き、丁寧に紹介&解説をしてまいります。厚労省が4年間で3,000万円の研究費用と研究者を投じ、海外視察を通じて作成された大麻冊子には、厚労省の大麻問題に対する見解が示されています。シリーズBLOGをお楽しみください!

イントロダクション:大麻冊子とは?!

①44年ぶりにできた大麻冊子「大麻問題の現状」は、何のために作成したのか?

2016年から2019年に実施された、厚労省の補助金事業の4年間の研究成果として、2020年3月に発行されました。

②このレポートの立ち位置とは?大麻取締法改正の根拠として裏付けになるのか?それとも、ただのPR活動?

大麻冊子4ページ目の発行に際してによると「世界で最も乱用されている薬物は大麻とその製品」と位置づけられており、また「大麻の有害性を軽視するようなものも見られ、そのような情報に触れると若者が安易に大麻に手を出してしまうため、大麻についての正しい知識を普及していくために本冊子が作成された」とあります。よってこのレポートは、最近の科学的根拠(エビデンス)をベースに、現状の大麻取締法の正当性をアピールすることに挑戦してみた労作といえそうです。

③レポートを全体的に読んで、評価すべきところ、評価できないところとは?
評価すべき点
・44年ぶりに厚労省として最近の世界的な大麻の規制緩和や臨床研究成果を評価した点
・4年間で約3000万円の費用と23名の研究者を投じて、5冊で全860頁の成果物としてまとめた点
・医療用大麻だけでなく、嗜好用大麻や産業用大麻についても海外事例として調査した点
・幻覚作用という誤った言葉を使わずに、有害性の作用を表現した点
・大麻冊子あとがきに、薬物乱用防止教育「ダメ。ゼッタイ。」の批判も聞こえてくると正直に認めた点

評価できない点
・44年ぶりの大麻冊子であるにも関わらず、一般的に知られておらず、知るきっかけとなる講演セミナーやシンポジウムが一切実施されていない点
・同時期に行われていたWHO/ECDD(世界保健機関/依存性薬物専門家委員会)の科学的評価のレポートや勧告についての引用や評価がほとんどない点
・ラットの実験でTHC6mg/kgという過剰投与した論文を重要文献として引用した点 (※このラット実験は研究者の間において「でたらめ実験」と呼ばれ、引用自体タブーであるとされている。)
・医療用大麻の人道的使用、薬物政策と人権、逮捕とメディアとスティグマ、ダメゼッタイ教育の是非、酒・タバコ・コーヒーなどの他の薬物との比較について何も触れていない点

④このレポートに日本政府や研究機関の動揺があるのか?
厚労省は大麻冊子のあとがきに「大麻(大麻草)やその薬理活性を示す成分について、正しいエビデンスに基づいた科学的知見を把握し、かつ、国外で進む規制緩和がいかなる経緯によるものなのか、科学的調査研究のみならず、社会・経済学的な解析が必要不可欠であろう」と記しています。

これは・・・正にその通りですね。
この観点から是非とも引続き、研究調査を実施していただきたいです!

Next ⇨ 第1回:44年前(1976年)の厚労省の大麻冊子の目次と比較してみた!に続く

参考文献:
「大麻問題の現状」
企画・編集:厚生労働行政推進調査補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)
「危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する研究」研究班
真興交易(株)医書出版部 全127頁、2020年3月
http://www.dapc.or.jp/torikumi/20200415.pdf

MM411 APAC 統括責任者。日本のカンナビノイド医学教育発展のため尽力する。アジア全域のグローバル日本企業への人材及び組織開発の教育研修設計に従事。また名門ベンチャーキャピタル投資顧問会社セコイアキャピタル日本顧問、日経機関投資家アンケートトップ業界アナリスト入賞。CNN出演。早稲田大学・スタンフォード大学ビジネススクール

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