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「44年ぶりに発行された厚労省の大麻冊子を読んでみた!」第2回

カート・ハーン 30/03/2021 0 comments

シリーズBLOG「44年ぶりに発行された厚労省の大麻冊子を読んでみた!」では、おそらくほとんどの日本国民に読まれていないであろう2020年3月に出版された厚労省発行の大麻冊子「大麻問題の現状」について、カンナビノイド医学教育を提供するMM411の視点から少しずつ紐解き、丁寧に紹介&解説をしてまいります。厚労省が4年間で3,000万円の研究費用と研究者を投じ、海外視察を通じて作成された大麻冊子には、厚労省の大麻問題に対する見解が示されています。シリーズBLOGをお楽しみください!

第2回:44年前(1976年)の厚労省の大麻冊子の発行元を比較してみた!

一般的に政府刊行物とは、編集、著作、監修、発行のいずれかにおいて、政府関係機関が関与しているものと定義されています。例えば、白書、審議会答申・研究会報告、統計・調査報告、人事・法人録、便覧・要覧・総覧、六法・法令通達、解説・手引書、一般教養書、雑誌類と様々な形態があります。大麻関係で毎年2月頃に発行されているものは、「麻薬・覚醒剤行政の概況」があります。これは、非売品であり、大麻事犯の検挙者数や大麻取扱者免許の取得者数などが年次推移で紹介され、「統計・調査報告」に位置づけられます。

今回の44年ぶりの大麻冊子「大麻問題の現状」は、「危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する研究」研究班が企画・編集し、発行元は、麻酔関係の医学書を取り扱う真興交易(株)医書出版部となっています。政府刊行物の分類では、「審議会答申・研究会報告」に位置づけられるでしょう。

1976年版と比較すると、どちらも非売品にも関わらず、発行元が大麻取締法の管轄部署である麻薬課(現在の監視指導・麻薬対策課)と、民間企業の出版社と大きく異なります。

これはいったい何を意味するのでしょうか?

管轄部署が発行=冊子の中身に責任を持つ

民間の出版社が発行=冊子の中身に責任を持たない

第1回で指摘したように、研究成果について、管轄部署として社会学的な考察が全くできていないため、冊子の中身に責任をもつことが難しいことが背景にあるでしょう。その証拠に、厚労省の「薬物乱用防止に関する情報」のページでは小冊子は紹介されず、薬物乱用「ダメ。ゼッタイ。」活動を担う公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターからしかPDFファイルをダウンロードできません。

しかし、冊子の発行によって、

一般国民の声:「海外で医療用大麻が合法化しているのに、厚労省は調査も検討も何もしてない!」

厚労省:「4年間研究班で調査しており、小冊子も発行しています!」

と反論できます。

さらに、都合の良いことに、

一般国民の声:「4年間も研究調査を踏まえて、医療用大麻の導入の議論をはじめるべきだ!」

厚労省:「はい、4年間の研究成果を踏まえて前向きに検討したいと思います!」

厚労省心の声(本音):「研究班はあくまでも研究班の成果物であって、麻薬対策課として具体的に何かをするものではない!」

と反論できます。

発行元を分離したことで、厚労省は責任をもっていないので、「調査した?」「調査しました。」「検討すべきだ!」「検討します!」と自由自在に言い訳できる余地を大いに残しています。

行政用語で「前向きに検討する=具体的には何もしない」は一般常識なので、知っておいて下さいね!!
タイトル 大麻 大麻問題の現状
発行年 1976年 2020年
発行元 厚生省薬務局麻薬課 真興交易(株)医書出版部
企画・編集 依存性薬物情報研究班 厚生労働行政推進調査補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)

「危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する研究」研究班

はじめに 厚生省薬務局麻薬課長

石居昭夫

厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課
あとがき なし 井村伸正 公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター理事長
位置づけ 1968年「大麻(CANNABIS)」の後継本 2016年から19年の4年間に渡る「危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する研究」の成果物
販売形態 非売品 非売品
ページ数 92ページ 127ページ

 

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参考文献:
「大麻」1976年
https://www.hokkaido-hemp.net/kouseisyo-taima-report1976.pdf

「大麻問題の現状」
企画・編集:厚生労働行政推進調査補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)
「危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する研究」研究班
真興交易(株)医書出版部 全127頁、2020年3月
http://www.dapc.or.jp/torikumi/20200415.pdf

MM411 APAC 統括責任者。日本のカンナビノイド医学教育発展のため尽力する。アジア全域のグローバル日本企業への人材及び組織開発の教育研修設計に従事。また名門ベンチャーキャピタル投資顧問会社セコイアキャピタル日本顧問、日経機関投資家アンケートトップ業界アナリスト入賞。CNN出演。早稲田大学・スタンフォード大学ビジネススクール

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